違法じゃないの? 就職に際しての身元調査について

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違法ではないが、原則として興信所を利用しての身元調査は禁止行為

就職前の”身元調査”に関するうわさを耳にしたことがあるでしょうか。あまり大っぴらに語られる話題ではないですが、就職先によっては採用選考のときや内定後に、個人情報についての調査を興信所などを利用して、行われるという情報を聞いたことがある人もいるかもしれません

身元調査の内容は住所・学歴・素行や風評、同居家族の職業や勤務先に関するものと言われることが多いです。特に隠すこともなかったとしても、このようなプライベートな情報を探られるのはあまり気持ちのいいことではないですよね。あるいは、過去に警察にお世話になった経歴や、借金歴がある方もいるかもしれません。こうした場合、身元調査をされて「内定が取り消しになったらどうしよう」と不安感を覚える人もいるでしょう。

さて企業による就職希望者の身元調査は違法なのでは、と疑問に思っている人も多いでしょう。実際にはどうなのでしょうか?

厚生労働省の”公正な採用選考の基本”の中では、本人のもつ適性・能力以外のことを採用の条件にしないことを掲げ、候補者の身元調査は就職差別につながるおそれがある、としています。

残念ながら法律によって明確に禁じているわけではないため、身元調査イコール違法行為とはいえません。しかし採用選考を受ける中で身元調査が行われたと思われる証拠がある場合、ハローワークに報告して調査をしてもらい、企業に対して是正指導を行ってもらうことは可能です。

また個人情報保護の観点からも、企業は個人情報を収集時に明示した目的以外で使用することは禁止されています

身元調査で借金がバレて就職に影響することはない

身元調査の中でも特に借金を抱えている人は不安があるのではないでしょうか。自分または家族が借金を抱えていたり、過去に債務整理の経験がある人は特に不安ですよね。そこまでいかなくても、やりくりが厳しくてキャッシングを利用したことがあったり、うっかりクレジットカードの支払が遅れたりする人も中にはいるのではないでしょうか

このような金融機関の信用情報ですが、基本的にはバレることはありません。信用情報機関が管理している情報には、確かに個人のクレジットカードの延滞履歴やローンの残高が登録されています。しかしその情報の開示請求ができるのは、本人または金融機関のみです。

では就職先が金融機関の場合ならどうでしょうか? その場合も、金融機関であっても審査目的以外では信用情報を見ることができないというルールになっています。さらに信用情報を照会した金融機関の名前や日時もデータベースに残ってしまいます。

というわけで簡単に採用選考のために企業が信用情報を見ることはできないことになっているので安心してください。

公務員、病院、警察だからといって身元調査は基本的にしない

さて一般企業ではなく、公的機関に就職する場合、身元調査をされるのか気になる方もいるでしょう。公務員や病院などでは身元調査があるといううわさが聞かれるものの、基本的に調査はしないと考えられます。確かに公的な機関では慎重に人間性を吟味して採用するのが一般的ですが、採用候補者1人1人をわざわざ身元調査するとは思えません。

ただし、警察なら犯罪歴に関する独自のデータベースを持っていることは明らかですので、病院でも、受診歴があれば病歴を調べることは可能です。こうした独自情報をつかって調査をされることも可能性としてはあるでしょう。