出版雑誌業界に行きたい学生必見!出版業界における長期インターンとは

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出版社でのインターン参加は狭き門?

考える男の人

本を読むのが好き、文章を書くのが好き、記者だった父親に憧れて。。。など志望動機はさておき、出版業界への就職を目指している人はたくさんいると思います。

ライターや編集者に強い憧れを抱いている人が多くいる一方、現実問題、出版社のインターン募集定員は少なく、あったとしても倍率が非常に高い。

こうした現状から、「将来は出版社に就職したいけどハードルが高すぎる」とインターン参加を断念してしまう人は案外多いのです。

書籍、月刊誌、週刊誌、コミックなど全て含め、全国に3,000近くある出版社への就職内定率は年間1,000人にも満たないと言います。

つまり、3社で一人採用されるかされないかくらいの狭き門なのです。こうした状況の中、就職前に出版社でインターンとして実情を知るためには、どうしたらいいのでしょうか?

出版業界の市場規模について

学生

出版業界のインターンについてお話を進める前に、業界の市場規模についておさらいしましょう。就職を考えておるのであれば、出版業界の市場規模が一体どれくらいなのかきちんと理解を深めておく必要があります。

業界規模:1兆0,515億円

経常利益計:613億円

売上高純利益率:+3.6%

過去5年の伸び率:+2.3%

総資産額:9,774億円

労働者数:8,638人

平均年齢:38.2歳

平均勤続年数:9.7年

平均年収:610万円

(平成25年7月-平成26年6月 決算)

業界動向SEARCH.COMが集計したデータを見てみると、各出版社の販売数は9年連続で減少しており、市場規模が年々狭まってきているのが現状です。特に月刊誌や週刊誌の売上の低下は著しく、スマートホンやインターネット上で見られるタブレットサービスの普及が大きな要因だと考えられます。

出版業界とは?

頬杖をついて考える女性

そもそも出版業界とは、単行本や雑誌といった、出版物を扱う業界です。出版業界の中の業態は主に3つに分かれています。まずは、出版を行う「出版社」、そして出版物を流通させる「取次」、最後に出版物を売る「書店」。これら3つを総称して「業界3社」と呼びます。

メーカーである出版社が商品を作り、卸売である取次が本を流通させ、書店が商品を販売します。また、出版社から依頼を受けて本を作成する「編集プロダクション」、amazonなどに代表されるインターネット上で本を販売する「ネット書店」なども出版業界に含まれます。

かつては、2兆円あった出版業界の市場規模は、現在では1兆円あまりに落ち込んでいるのが現状です。それは、スマートフォンなどの電子書籍の普及が影響しています。

Amazonの「kindle」や楽天の「kobo」といった電子書籍は、着実に市場を伸ばしています。今のところ、売り上げの大多数を一部のネット書店が独占しているような形になっているのが現状です。出版社はコンテンツ料で収益を得られますが、書店は紙の書籍が売れずにどんどん閉店に追い込まれています。

とはいえ、出版業界は、テレビや新聞など他のマスコミ業界と同じく、まだまだ人気の高い業界でもあります。では、そんな出版業界に就職するためにはどのような就職活動を行えば良いのでしょうか。

出版業界に就職するには?

出版業界に就職するには、なによりも業界研究を徹底しておくことが大切です。

「再販売価格維持制度」(全国どこでも同じ値段で本を売る制度)、「委託販売制度」(書店が売れ残った本を値段そのままで出版社に返品できる制度)といった業界独自の仕組みを持ち、業界風土も独特のものがあります。

仮に、面接で「本が大好きなので志望しました!」と志望理由をアピールしても、プラスにならないケースも多いようです。売上推移が低迷している昨今。出版業界を志望しているからといって、本のことばかりを知っていれば採用の強みになるかと言われると、それが絶対的な根拠にはなりません。

出版物が売れなくなっている現代だから、本よりむしろ他の商品販売についての知識や企画力を磨き、それをどう出版物に応用できるかという視点を持っておくことが大事です。

「これから、どう出版業界を盛り上げていけば良いのか」「Webが主流の今、どうしたら売上を伸ばせるのだろうか」という高い視点を持っている学生は、重宝される傾向にあります。

また、出版社などに就職を志望する場合は、その会社がどのような出版物を制作しているかなど、企業研究をすることも大切です。

出版社は出版社ごとに、独自の理念を持って出版物を制作している場合が多く、その特徴も出版社によってかなり違いがあります。

自分の志望する出版社がどのような商品を制作していて、それが自分の作りたいものや売りたいものに近いのかどうかを知ることは、出版業界への就職活動準備においてとても大切な要素となってくるのです。

出版社はハードワーク!

インターン

出版社に就職する上で、どんなハードワークでも乗り越えられるという覚悟が必要です。

原稿の締切日時が決まっているため、企画や取材、撮影、ライティングなどスケジュール管理能力が問われます。また、月刊誌であれば翌月号分の企画やアポ取りも同時進行で行わないとならないため、息つく暇がない程かなりのハードワークであるということは覚悟しておいた方がいいでしょう。

ちなみに余談ではありますが、私が以前出版社に勤めていた頃はインターン制度がなかったので、雑誌を片っ端から見て直接企業に連絡し、面接をしてもらえるかどうか聞きまくるというスタイルをとっていました。出版業界で働く大変さを「寝る暇がない」「家には荷物を取りに帰るだけ」などと例える人がいますが、ハードワークであることは間違いありません。しかし、そうした苦労や大変さが多い分、出版物が製本された瞬間は喜びもひとしおです。これは出版社だからこそ味わえる感動なのではないでしょうか?

出版業界でインターンは募集しているのか?

それでは、出版業界でインターンを募集しているのかという点についてですが、他業界に比べれば出版業界はほとんどインターン募集を行っていないと言っても過言ではないでしょう。たまに、1dayや3daysといった短期インターンを受け入れている企業もチラホラあります。

長期インターンに至っては、募集している企業はほぼありません。時期にもよりますが、長期インターンの募集をかけている出版社もあります。とは言え、倍率が非常に高いため受かる確率は100人に1人の割合です。

少なくとも、普段買っている本や雑誌を出しているような有名な出版社はほぼインターンを導入していません。出版業界にはあまりベンチャー企業はありませんが、中堅や中小企業規模の出版社が最近になって短期インターンの募集を開始している傾向にあります。

また、出版業界の中でも、編集プロダクションなどが、編集のアシスタントをインターンとして募集している場合があります。編集プロダクションでは、扱う出版物のジャンルが幅広いため、多種多様なジャンルを編集スキルを構築したいという人にオススメです。編集業界を志す方はこのようなインターンに参加してみてもおもしろいかもしれません。

雑誌の裏面、SNSをチェックしてみよう

携帯をいじる女性

インターンを募集している出版社はほぼないとお話しましたが、ゼロなわけではありません。書店に行き、雑誌の最後の方のページを片っ端からくまなくチェックしてみてください。アシスタント、インターン募集と書かれた求人情報が掲載されていることが結構あります。

また、最近では出版社の公式TwitterやFacebook、編集部スタッフの個人アカウントで「○○編集部で編集長をしている○○です。急遽、雑誌作りとお手伝いしてくれるインターン生を募集しています」などの募集を呼びかける投稿が見受けられます。

冒頭でもお話をしまいしたが、出版業界に強い憧れを抱いている人が多い一方で受け入れる間口が狭いため、すぐに募集を締め切ってしまう場合もあるのです。

出版社でインターンをしたいけど、募集している会社が少ない。。。と悩んでいるのであれば、雑誌の最後のページやありとあらゆる出版社の求人情報を確認したり、SNSをチェックしたりと受け入れ先を探す方法はいくらでもあります。

もし、応募した企業にそのままインターンとして参加できれば、就職したいと思っていた出版社に入社できる可能性だってあるかもしれませんよ。

出版業界に行きたい人はインターンに参加すべきなのか

例えば、出版社へ就職したい場合に、編集プロダクションのインターンに参加したから就活に有利になるかと言えば、そうとも限りません。出版社の場合、過去の実績よりもどちらかというと実力主義の選考を行う場合が多く、編集プロダクションへのインターン経験はあまり就活でプラスにならないことがほとんどです。

出版業界への就職を志望する場合は、インターンに参加するよりも、まずは志望する企業の企業研究を行ったり、もし可能であればアルバイトとして仕事を見つけ、そこから社員採用を狙うといった方向性の方が就職に有利に働くことは確かです。

冒頭でもお話をした通り、出版業界はその風土や仕組みが独特のものなので、アルバイトとして働き、少しでもその経験を持っていた方が就活では有利になります。それは、出版社だけではなく、書店にも同じことが言えます。「以前本屋でアルバイトをしていました」という経験は、書店への就職を目指す上で非常に大きなアドバンテージになることは間違いありません。

また、出版業界の中でも「編集者を目指したい」ということであればWEB関係の事業を行っている会社で、コンテンツのライティングや編集をしているインターンを探しましょう。出版社との直接的な関係はありませんが、職種として編集経験があることは、就職活動で有利になる場合があります。

出版社でのインターンの可能性はゼロではない

太陽とひまわり

スマートホンやインターネットの普及とともに、紙媒体が年々衰退傾向にあるのは確かです。編集者たライターを目指す学生が多い中、受け入れ先が少ない出版社でのインターンへの参加は、倍率が高く狭き門であることは間違いありません。しかし、編集部の個人ブログやTwitter、Facebookなどで募集を募っている出版社が意外とあったりするため、興味のある出版社や編集長をフォローして、成長機会を手に入れたもの。

「将来は出版社に就職たいからインターンで経験を積みたい。けれど募集がないからなんとなくメディアでいいか」と方向性が決まらず悩んでいる方は、ぜひとも書店に足を運んでみてください。雑誌の最後のページを確認する、「SNSをくまなくチェックする」などして、希望を捨てずにアクションを起こしていきましょう。

ひょっとしたら、それがきっかけでインターンへの参加、頑張り次第で内定をもらえるチャンスが巡ってくるかもしれません。可能性は決してゼロではないのです。