就職の売り手市場・買い手市場とは?

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売り手市場とは就職しやすい状態のこと

就活のニュースでよく聞くキーワードが”売り手市場”・”買い手市場”というものですね。比喩的な表現ですが、具体的に”売り手”・”買い手”が何を指しているのかご存じですか?

ものの売買に例えた表現ですが、売り買いされるものは”労働力”です。つまり売り手とは、労働力を売る側である求職者、すなわち就活生のことですね。企業が給与という費用を出して労働力を買っているとイメージするとわかりやすいでしょう。

“売り手市場”とは、売り手である就活生が有利な状態、つまり企業のトータルの求人数が多く、就活生側が就職先を選ぶ選択肢が多いことを指します。労働力の需要が供給を上回っている状態です。

そうすると、就活生としては内定をもらえる確率が高まり、複数の内定先からどの企業に入社するかをじっくり選ぶことができるわけです。就活生にとってはつねに売り手市場の状態であってほしいですね。

買い手市場は企業にとって有利な状態

それでは逆の”買い手市場”とはどういうことかわかるでしょう。今度は反対に、供給が需要を上回っている状態ですね。買い手市場の状態では、企業が採用数をしぼっているため、就活生にとっては辛い状況です企業側が優位で、内定者を選ぶことができる状態です

売り手市場になる理由は景気回復による採用強化

さて、2016年現在の就職市場は”売り手市場”・”買い手市場”のどちらの状態かわかりますか? 日ごろからニュースに触れている人はよく知っているかもしれません。実は国内の経済政策がうまくいっているため、ここ5年連続で、大卒求人倍率が上昇しています。すなわち、”売り手市場”の状態ですね

2016年に就職活動をした2017卒の求人倍率は1.74倍、つまり就活生1人に対して1.74社の求人ということです。好景気が続き、国内企業は軒並み採用数を強化しています

売り手市場はいつまで続く? 2020年まで続く見込み

ではこの就活における売り手市場の状態はいつまで続くのでしょうか? 
景気予測では、東京でオリンピックが開催される2020年までは緩やかに好景気が続く見込みとされています。もちろん、大規模な災害や国際情勢など、何があるかわからないため断言できるわけではありませんが、今のところは2018卒~2021卒の就活までは、売り手市場が続くと予想されています

新卒一括採用が廃止され就職が難しくなるかも

さて就活の解禁時期は16卒の頃から二転三転してきました。そんな中、2016年10月にはヤフーが新卒一括採用をやめるというニュースで世間を騒がせました。30歳未満であれば、新卒・既卒にかかわらずだれでも通年応募ができるようになるとのことですが、これから新卒一括採用をなくす企業は増えていくのでしょうか?

一気になくなることはありませんが、徐々に新卒一括採用をしなくなる企業が増えることが考えられます。その理由の一つに、企業にとって新卒一括採用は効率よく内定者を獲得できる方法である一方、内定解禁時期の熾烈な新卒獲得競争は年々厳しくなっていることが挙げられます。どの企業も、優秀な学生を早期に獲得するために、大学1~2年生向けのインターンを開いたり、早いうちから社員に引き合わせたりして囲い込みを強化していますが、実質内定を出せるのは解禁日以降。これでは企業側の負担が増すばかりです。

新卒を大量に獲得して自社で育成したいという姿勢は日本企業独特のものです。一括採用がなくなれば、就活生にとっても留学や休学がしやすくなるメリットがある反面、各企業のバラバラの採用スケジュールに合わせた形で動くデメリットがあります

ヤフーのような形の採用は、経歴にかかわらず優秀な人材を獲得することがしやすくなる一方で、企業にとっては一年中採用選考の準備をしなければならないという負担がかかります。採用にかけるコストをすぐに増やすことはしにくいため、いきなり新卒一括採用がなくなることはありませんが、同じように通年採用に切り替える企業が増えてきても不思議ではありません。