
目次
長期インターンシップの掛け持ちで実務経験を積む
長期インターンシップは、企業の実務を体験できる上、給料まで受け取れるという、学生にとってはとても魅力的な制度です。
中には「複数の長期インターンを掛け持ちしたい」、そう考える学生の方がいるかもしれません。
時間管理がきちんとできる人であれば、複数の長期インターンと授業を掛け持ちは可能かもしれません。
ですが、複数の長期インターンを掛け持ちすることは可能なのでしょうか?
長期インターンを掛け持ちすることは可能
結論から言ってしまえば、複数企業にまたがって長期インターンを行うことは可能です。
その際、おさえておきたいポイントをいくつかの視点に分けてご説明しましょう。
・時間的な視点
まず、長期インターンの掛け持ちでネックとなるのが、時間の問題。
大学生はアルバイトやインターンの他に、授業や課題の製作などマストのタスクがあるので、「学業との両立ができるのだろうか」、と心配をされる方が多いかと思います。
長期インターンの場合、週に何日か出勤して何時間働くのかという点に関しては、フレキシブルな企業が多いです。
しかも、この週は何曜日に出勤してその日は何時間働く、という出勤スケジュールは、学生の希望を反映してくれる場合がほとんど。
つまり、授業の時間割と、掛け持ちするそれぞれの企業の就業時間が重ならないようスケジュール管理に気を付けていれば、長期インターンの掛け持ちは可能なのです。
自分の予定をうまくコントロールしながら、実際に長期インターンを2社以上掛け持ちしている人は割といます。
・法律的観点
労働基準法では、こう定められています。
「第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない」
「使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。」
つまり、「1日に8時間以上働かせてはいけない。一週間に40時間以上働かせてはいけない」ということです。
もし複数の企業で働いていたとしても、全ての時間が合算されます。
例えば、A社で4時間働いた後に、B社で6時間働いた場合は、1日の労働時間が計10時間となり、労働基準法に違反することになってしまうのです。(ちなみにこの時罰則を受けるのはB社です)
労働基準法に違反したとしても労働者に対する罰則はありませんが、もし万が一違反が発覚したら、インターン先企業に迷惑をかけることになってしまいます。
長期インターンを掛け持ちする場合は、法定労働時間内で収めるように気をつけましょう。
・コンプライアンス的な視点
これは参加する企業にもよりますが、掛け持ち(兼業)を禁止している企業もあります。
長期インターンを掛け持ちする場合は、その旨を企業の担当者に確認するようにした方が無難でしょう。
その際、上記の法律的観点を気にされることが多いので、しっかりとスケジュールを伝えることが大切です。
むしろ、インターンを掛け持ちしていること自体、企業に言わない方がいいかもしれません。
と言うのは、またがって別企業のインターンをしていることが発覚した場合、「内部情報を漏らすかもしれない」と疑われて危険人物扱いされてしまう可能性があるからです。
長期インターンを掛け持ちする理由
実務経験を積むのはもちろん、自分がやりたいことと伸ばしたいスキルのマッチングを図るためです。
たとえば、IT業界とひと口に言っても、Webデザイナー、システムエンジニア、プログラマー、コンサルティングなど、職種はさまざま。
自分がどういったスキルを身につけ、将来的にそれをどう活かしていきたいのかによって、選択する仕事内容は異なります。
このように、IT業界そのものへの興味はあるけど、Web開発、情報システム構築のどちらか2択で迷っている場合。
インターンを掛け持ちすることにより、自分がやりたいことと必要なスキルが明確になるため、長期インターンを掛け持ちする人が多いのです。
また、仕事内容、職場環境、雰囲気を自分の価値観にあてはめて比較できるから、入社後のミスマッチを未然に防げるということも、掛け持ち理由のひとつにあげられます。
長期インターンを掛け持ちするメリットデメリット
長期インターンを掛け持ちする上で、メリットとデメリットの両方が存在します。
それぞれ見ていきましょう。
・メリット
よりたくさんの企業の実情を知れる、という点がまず第一にあげられるでしょう。
ひとつの企業のみの参加だと、その会社の常識が社会の常識であると勘違いしてしまうなど、知見が広がらない可能性があります。
その点、複数の企業に長期インターンとして参加すれば、それぞれの企業を比較し、それぞれの良い所と悪い所を知ることができるから、自分が将来働きたいのはどんな企業かというビジョンを明確にできます。
また、複数の企業で長期インターンを経験することにより、それだけスキルや経験値が増えることもメリットのひとつと言えるでしょう。
場合によっては、ひとつの企業で得たスキルをもう一方の企業で活かせる、といったシナジー効果が期待できる場合もあります。
ただし、その場合は一方の企業の内情をもう一方の企業に伝えてしまうような、情報漏えいだけは決してしないように、十分に注意してください。
・デメリット
複数の長期インターンを兼務すると、どちらも中途半端になってしまう可能性があります。
自分が全てのインターンに全力で取り組める自信がない場合は、一つの企業に絞った方が無難です。
また、中途半端にならないように、週単位、月単位で時間をしっかりコントロールする自己管理能も必要となってくるでしょう。
例えば、午前中に集中して授業に取り組めるように時間割を工夫したり、週の中でもこの日だけはきちんと休息をとるなど、長期的なプランニングを意識する必要があります。
これができないと、体調を崩してしまったり、学業に身が入らなくなるといった弊害が起きるリスクが考えられるからです。これでは本末転倒になってしまいます。
長期インターンをいくつか掛け持ちすることは、単純に労働時間が増えることになるので、体調管理が大変になるという懸念点も頭に入れておきましょう。
デメリット | メリット |
---|---|
|
|
複数の長期インターンに合格してしまったら
では、上記のようなメリットとデメリットを照らし合わせた上で、複数の長期インターンに合格してしまった場合はどうすればいいのでしょうか。
結論から言えば、ひとつの企業に絞って参加することをおすすめします。
なぜなら、掛け持ちは法律的には問題はないのですが、それを好意的に受け入れてくれる企業は少ないから。
また、二足のわらじだとどうしても中途半端な向き合い方になるかもしれない、というデメリットが大きいのです。
ですので、まずはひとつの企業の長期インターンに参加して企業研究に専念し、余裕があるようであれば複数の掛け持ちを検討してみるといいでしょう。
企業から見た長期インターンの掛け持ち
企業側から見た場合、学生の長期インターン掛け持ちにはどのように対処するべきなのでしょうか。
まず、学生に掛け持ちの有無を確認することは必須です。
もし学生が一方の企業に掛け持ちを黙ったまま働いていたら、またそれが先ほどご紹介した法定労働時間を超過しているような場合は、法律的に罰せられる可能性があるからです。
法定労働時間を超えての労働は、労働者側から訴えを起こされない限り発覚することは稀ではありますが、企業としてはそのリスクを冒してまで長期インターン生を受け入れるメリットはないでしょう。
このことから、基本的には学生にきちんと確認をして労働基準法を遵守する姿勢をとるようにしましょう。