楽しいはつくれる!「大学がつまらない」を変える大学生の挑戦

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大学が”つまらない”わけがない!

昨今は「大学がつまらない」となげく大学生も多いなか、「そんなことは絶対にない」と主張する1人の大学生を取材しました。彼がそれほどまでに断言できる自信は一体どこからやってくるものなのか、彼自身の大学生活が充実しているワケに迫りたいと思います!

<インタビュイー>

松井 巧海(まつい・たくみ)さん

神戸大学経営学部に通う大学4年生。大学1年次に所属していた「起業家精神育成ゼミ」をキッカケに数度の起業経験があり、長期インターンや短期インターンの経験も豊富。

一方で趣味としてバイクやカメラも楽しむ。現在は学生団体「Social Campus」を立ち上げ、創設代表として精力的に活動をおこなっている。

 

とにかく、行動あるのみだった

彼が大学生活を楽しいと思える最大の理由は、大学が色々なチャレンジの機会に溢れた場所だと身をもって感じることができているから。でもそれを実感するためには、「何か面白いこと起こらないかな」といった成り行き任せではなく、自らアンテナを張り、足の動かす必要があると言います。

大学の入学式での1枚。写真右から2番目が松井さん。

彼が大学に入ってまず踏み込んだ第一歩は、学部ゼミとは別に、有志でおこなわれていたゼミに入ろうと決めたことでした。

ー早速ですが、松井さんがまず大学1年次に所属した「起業家精神育成ゼミ」について教えてください。具体的にはどのようなことを学ぶゼミなんですか?

松井さん:その名の通り、起業家精神を育成するためのゼミなのですが、「学ぶ」というよりも「学び:実践=1:9」って感じの場所です。小さくても良いので、実際に商売をやってみる、というのが起業家精神育成ゼミのやり方です。
僕自身も大したビジネスをしたわけではないのですが、何よりも学んだことは「とにかく行動する」という姿勢と、多くの経営者の背中を見るなかで知った多様な人生のあり方だと思います。

ーなるほど。冒頭の受け答えからやはり視座が高い!そもそもゼミに興味を持ったキッカケなどはあったのでしょうか?

松井さん:実家が自営業ということもあり、もともと経営者や社長という生き方に憧れがありました。それがあって志望校も、経営学部の有名な大学を選びました。けれど大学の授業はあまり経営には直接関係しないことばかりで…。
「こんなことしていて本当に経営者になれるのかな…」と思っていたときに、このゼミの募集を見つけ、その場で応募を決めました。

ー大学の志望動機もゼミの志望動機もカッコイイですね…。常にやりたいことを自由に選択できていて、羨ましいです。

松井さん:そうでもないですよ。大学受験当時父が病気を患っていて、あまり働けないような状態でした。僕には10歳下の妹がいるので、あまり家庭を圧迫したくないなという思いもあって…。できるだけ負担をかけずに大学に通うために、大学の授業料免除申請もしました。
神戸大学では成績だけでなく、家庭の事情も考慮してもらえるので、僕はそれほど成績優秀というわけではなかったのですが、全額免除としていただくことができました。

松井さん:金銭面の事情で大学に通えないと考える人も多くいると思うのですが、こうして家庭の事情をしっかりと考慮してもらえる制度が大学にはちゃんとあるので、この制度についてもっと広く知ってもらって、多くの人に利用して欲しいなと思いますね。金銭的な事情で、楽しいに繋がるステージを諦めてしまうのはもったいないので。

ー優秀で且つ親孝行な一面もあるとは…。(涙)話を戻しますと、先ほど大したビジネスをしたわけではないとおっしゃいましたが、ゼミでの活動が学生ビジネスコンテスト(通称:ビジコン)の運営者の目に留まり、松井さんもその運営に携わることになったんですよね?

松井さん:はい。でも運営者は大学の同期です。KBCC’15というビジコンだったんですけど、起業経験があるなら、こちらも手伝って欲しいと言われて。そのイベントのスポンサー営業を主に手伝っていたのですが、そのときスポンサーを引き受けてくださった縁から、神戸大学の卒業生でITベンチャー企業を営む方のところで、のちに長期インターンをすることにも繋がりました。

長期インターンでさらに広がった世界とは

ー行動が次々と繋がっていきますね。ITベンチャー企業での長期インターンはいかがでしたか?具体的にはどのようなことをされていたんでしょう?

松井さん:とてもグローバルな企業だったので、外国籍の社員さんと共同生活のシェアハウス社宅に住み込みしながら働いていました。仕事の内容はセールスチームのアシスタントで、資料の作成やアプリのテスターから始まり、最後の1ヶ月はCOO直下で全社に影響を与えるような仕事をたくさんさせていただきました。ざっくり「IT」というものについて全く知らないなかで飛び込んだ世界だったので、全ての経験が学びになりましたね。
それから、その企業がベトナムにも拠点を持っていたことで、海外にも行ってみたいと思うようになりました。

6日間のスタディツアーに参加した際の集合写真。後方左から3番目が松井さん。

ー実際に海外にも行かれたのですか?

松井さん:行きました。長期インターンを終えた後、kokokara Asia Tourという短期海外研修プログラムに参加して、ベトナムへ初めての海外旅行に。現地で働く日本人の方とたくさん話すことができて、働き方への考えが広がる機会になりました。

ーそれがまた何か別のアクションを起こすキッカケになったのでしょうか?

松井さん:そうですね。もっとたくさんの働き方に触れたいと思って、複数社の短期インターンにも参加しました。

ー具体的には何社くらいですか?短期インターンをした企業のジャンルについても伺いたいです。

松井さん:たぶん10社くらいは行ったと思います。ジャンルは主にITベンチャーとコンサル系ですね。でもそれだけでなく、学部ゼミの活動にも力を注ぎましたよ。

ーアグレッシブ過ぎる…!学部ゼミでの活動は多くのメディアにも取り上げられたと伺いました!

松井さん:学部ゼミでの研究も「アントレプレナーシップ(起業家精神)」を専攻したので、その一環です。研究といってもゼミの活動内容は超実践的で、海の家の軒先を借りて、本当にお店の経営をすることになりまして。(笑)

「俺の餃子」須磨海岸店を約40日間営業し、テレビ取材を受ける様子。

松井さん:とにかくたくさんのお客さんに来てもらうために必死で広報活動をしていたら、テレビや新聞でも取り上げてもらえました。実際それによる効果というのはあまりなかったですけどね。(笑)
現場に立ちながら、需要予測や発注数量計算を自動化するモデルの構築・運用などを担当していました。

ー本当にさまざまな経験をされて、充実した大学生活を送ってこられたのですね。今大学4年生でもうすぐ卒業ですが、大学卒業後の予定は決まっていらっしゃるんですか?

松井さん:ここまでの話の流れを踏まえれば「もちろん起業します!」と言いたいところなのですが、実は超大手企業に就職します。(笑)
自分が気になるテクノロジーで最先端を走っている会社ですし、会社の人としっかり意識合わせをした上で入社を決めたので、今はその会社の一員になるということにとてもワクワクしています。起業するのはその後のワクワクとして、取っておいても良いと思っているので。

ー常に”今”何をすべきかに全力で向き合ってきた結果、就職という道を選ばれたのですね!

超行動派大学生が語るこれからの展望

ー現在代表を務められている学生団体「Social Campus」はどういった経緯で立ち上げられたのでしょうか?

松井さん:僕が東京で長期インターンをしている間に、自分の原点である起業家精神育成ゼミとビジコンを運営していたKBCCとが解散してしまったんですね。
お世話になった多くの方々がそれらを復興したいと考えているのを知って、その2つの組織を統合させた新たな団体を立ち上げました。代表といっても皆を取りまとめているとかではないんですけど。(笑)
一人でも多くの大学生にワクワクする機会を提供できる団体を目指しています。

ーワクワクする機会の提供、ですか…。

松井さん:そもそも大学はさまざまな分野の専門家が集まる研究機関で、とてもワクワクするはずの場所なんです。それだけでなく、大学生という身分が持つ特権というのは本当にすごいもので、多少の無茶なチャレンジや失礼な行動も「まあ、学生だから」で大目に見てもらえる。そんな人生一度きりのチャンスを無駄にして欲しくない。卒業まで残りわずかですが、団体での活動を通して、できるだけ多くの人の背中を押してあげたいですね。

ー具体的にはどのような活動を?

松井さん:具体的には、古巣である起業家精神育成ゼミの運営や、大学発ラジオ番組のプロデュース、学生の夢を応援するプレゼン大会の主催などをしています。そして最近力を入れているのが、大学の産学連携を担当している部署の先生方と共同で、今までなかったようなワクワクする新しい授業を企画することです。まだ内容は秘密ですが。(笑)大学内外問わず、さまざまなアプローチからワクワクする仕掛けをつくっているところです!

ー素晴らしいですね。そんな松井さんが思い描いているご自身の将来のビジョンがあれば教えてください。

松井さん:一生ワクワクして生きていたい、これだけですね。
それは会社員として働くことかもしれないし、起業して前線に立ち続けることかもしれないし、もっと時間に縛られない生き方のほうがいいかもしれない。将来家族を持つようなことがあれば、その考え方もまた変わるかもしれない。
「今ワクワクしているか?」と自分に問いかけたときに、いつでもYESと答えられるような人生を自分で作っていきたいです。

やらない後悔より、やる後悔を

ーそれでは最後に、大学がつまらないと思っている学生に向けて、大学生活を面白くする、あるいは悔いのないものにするにはどうするべきだと思われますか?

松井さん:やっぱりまずは、ワクワクする何かに出会うことだと思います。そのためには色々な情報にアンテナを張ったり積極的に足を動かしたりして、いろいろなヒト・モノ・コトに触れること。

松井さん:そして「これだ!」と思う何かに出会ったら、全力でアクセルを踏むことですね。わき目も振らずにワクワクすることに打ち込んでいれば、自然と道が開けるような気がします。全力で物事に打ち込むのって、何かを失ってしまいそうですごく勇気がいることですけど、あとから振り返ってみればノーダメージだったりしますよね。(笑) まさに、「やらない後悔よりやる後悔」だと思います。

ー本当にそうですね。貴重なお話、ありがとうございました。

人生は挑戦することで変えられる

大学生の時点で、本当に自分に向いていることや自分の将来について明言できる人というのはそう多くいません。しかし分からないからこそ恐れずに、より多くの経験を積みにいくべきなのです。

彼のように、身の丈以上の目標を掲げ、何事にも果敢に挑戦する人を「意識高い系」などと揶揄する人もいますが、常に自分の意識を高く持つことで、いつもと同じで退屈な景色は変わっていくものなのではないでしょうか。

「大学がつまらない」と感じる理由が人それぞれにあるように、「大学が楽しい」と思えるようになるキッカケもきっと人それぞれです。大切なのは自ら変えようと行動する勇気。

たとえ迷うことがあったとしても、悩み抜くことは方法として決して間違いではないと思います。
まずは自分の好きなことから極めてみるなど、小さな一歩でも踏み出せれば、あなたの大学生活は明日から少しずつ変わっていくかもしれませんよ。