企業研究と業界研究の順番や違いを解説

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業界研究と企業研究の違い

業界研究では仕事内容を考えよう!

いざ就職活動を始めるとなると、いったい世の中にはどれくらいの業種があるのかという疑問が出てきます。さらに業界研究はなぜ必要なのか、どう役立つのかということも考えることとなります。簡単に業界研究について解説すると、どのような産業が世の中にあるのか、またその中身について知ることを一般的に業界研究と呼んでいます

例えば、皆さんの身近な業界ですと、自動車業界、化粧品業界などがあげられます。ひとえに、自動車業界と言っても、製造や販売等その業務内容は多岐に渡りますし、会社によっては業界を横断して事業を行っている会社もあります。では就職活動の際の業界研究とは何をするか? 一般的に、就活生の皆さんが行っていることとしては、どのような会社がその業界に属しているか、どのような有名企業があるのか、その企業の業界内での順位はどうだろうか、ということになります。これは後の企業研究にもつながってくるポイントです。

また、その中の大まかな企業動向を調べることも業界研究であり、自動車業界ですと、今後の電気自動車の市場規模や排気ガス規制について調べることも業界研究のやり方の一つです。大まかな業界動向をつかむだけでも、十分ですが、今後の産業動向まで詳しく調べることで、他の学生との差別化や、面接時の話題づくりを行うことができます。

就活のカギ ‟企業について詳しく知る重要性”

では企業研究とは業界研究の違いは何でしょうか? 簡単に解説すると、皆さんの志望する企業の一つ一つについて調査をすることです。業界研究が自動車業界についての動向を調べるものに対し、企業研究は具体的にTOYOTAや日産など企業についてリサーチをすることです。

例えば、現在、企業Aは水素自動車分野に注力している、自動車を通した環境保全活動に取り組んでいる、といった具体例を調べることが企業研究です。なぜ企業研究が重要なのでしょうか? それは、ここが業界内で企業同士の差別化ができるポイントであり、各企業の強みや弱みについて把握することができるからです。実際の面接では、「他社同業と比べて、弊社の強みは何でしょうか?」といった聞かれ方をすることが多いです。これは学生がいかに応募企業について調査をしてきているかを測るポイントでもあり、面接担当官はそれをもとに志望度を測っているケースもあります。

さらに、企業研究はあなたがどの程度、応募企業について理解を示しているのかを表現するための基本となるので、就活における必須の作業です。しかし、IR情報といった企業会計に関する細かい数字ばかりを追うのではなく、直近の応募企業に関するニュースや社風を調べることも非常に重要な企業研究の一環です。企業研究なくして、エントリーシートや面接突破はありえません。また例年、企業がどのような質問をエントリーシートや面接を通して、行うかを知ることも立派な企業研究のひとつです。企業について知り、企業が学生に何を求めているのかという傾向を知ることは非常に重要です。

業界研究と企業研究をする順番は?

業界研究と企業研究の重要性をここまで述べてきましたが、一体どちらから始めるべきか困惑する方もいらっしゃると思います。私個人としては、この順番については皆さんのもつビジョンや興味によって変わると考えています。

もし皆さんが特定の企業を志望している場合、企業研究から始めるとよいでしょう。なぜなら、強い志望動機があるからこそ、企業の特徴について自分の興味と関連付けて調べることが可能ですし、この点は大きな強みになります。しかし、強く注意してほしいこととして、特定の企業を就活初期段階から志望している人こそ、業界研究をしっかり行ってほしいということです。何故なら、就活は盲目といいますか、一つの企業に思い入れが強すぎると、他社同業やその業界自体の動向を見逃しがちになります。一つの企業に強みがあれば、当然ながら弱みもあります。そのため、自分が行きたい企業がはっきりしている学生の皆さんこそ、業界研究をしっかり行ってください。

志望動機と企業をつなげることができる企業研究を先に行い、そこから業界研究を行うことで、その志望企業がどのような方向性に将来的にシフトするのか、するべきなのか、包括的に情報をつかむことができます。そうすることで、面接で志望動機に絡めて、志望企業について調べてきたことをアピールできますし、業界動向をつかんでいるからこそ、より深い話をすることが可能です。単なる熱意を伝えるだけの面接では、面接官にも響きません。熱意を持ちながらも、しっかり自分の理論を持つことで他の学生と差別化を図ることができます。

一方で、特定の志望業界がない学生さんの場合は、業界研究から始めることをおすすめします。自動車業界を例にとりますと、今後自動車業界は環境配慮を伴った企業活動をつかむことが大事なのだと業界研究によってわかったとします。そうするとその情報をもとに、どの企業が自動車業界で最先端の取り組みを行うかといったことを知るきっかけになります。このような順序を経ることで皆さんの興味を徐々に深堀していくことで、しっかりとした基礎固めをした状態で志望企業を絞っていくことができます。ふんわりとしたイメージからであっても、業界研究から企業研究といった手順を経ることで、あなたの就活ゴールはどの企業に内定をもらうことなのかしっかり掘り下げていくことができるでしょう。

まずは本を活用! 業界研究・企業研究のやり方を解説

就活で勝ち抜くために業界、企業研究は必須! まずは本を活用せよ

企業や業界研究を行うために代表的な書籍として就職四季報があげられます。就職活動の時期が近づくにつれ、本屋でも多くの学生が四季報を手にしているのを目にします。リサーチの手段として四季報は確かに有効な手段を言えます。大まかな企業情報や、学生だと気づかないような労働に関する情報も載っていますし、就活初期段階の書籍としては非常に有効なものです。

しかし、四季報は多くの一流企業を網羅しているとはいえ、世の中には星の数ほど企業がありますので、当然ながら掲載されていない企業も多いです。新興のベンチャー企業はその例でしょう。さらに書店では、特定の企業に向けた、業界研究本や過去の企業動向をまとめた書籍も多くあります。皆さんが、総合商社といった行きたい企業群が決まっている場合、このような書籍は同業他社を比較する記事を提供しているので、各企業の強み弱みを把握する大きな手助けとなります。

しかし、書籍の難点としては、情報がアップデートされないことと、発行時点での情報のため、最新の情報ではないことが挙げられます。しかし、就活初期段階においては、どのような情報を知っておくべきなのか、何が重要かという情報選別も難しいので、書籍をまず購入してみることをおすすめします。もちろん、買うだけで満足せず、しっかり読み込んでくださいね!

本とネットどちらのリサーチが適切なのか

前述で、本によるリサーチを就活初期段階で行うことをおすすめしましたが、ネットでの情報収集を否定しているわけではありません。私の場合は、志望業界、企業群は当初から決まっていたため、主にインターネットを活用しました。インターネットでの情報収集のメリットとしては、最新の情報を得ることができる、様々な角度で情報発信されているため、多様な企業、業界分析ができることが挙げられます。志望業界や企業について、ある程度の情報は持っており、さらに細やかな情報を得たいという場合はインターネットによるリサーチのほうが適しています。

また就職口コミサイトで、匿名ユーザーが書き込んでいる掲示板等で、面接やエントリーシートに関する質問が書き込まれていることもあり、選考についてのより具体的な情報をつかむこともできます。しかし、皆さんご存知のように、ネットリサーチの問題点は情報が玉石混交であることがあげられます。どの情報が正しいのか、情報ソースはどこなのかは特定することはほぼ不可能といえます。そのため、安易にネット上の情報のみを信用していると、実際の企業情報や業界情報とずれているということも起きかねません。

もちろん企業の情報自体は応募企業の自社サイトで得るに越したことはありませんが、やはり企業が学生にもとめるものや、どのような質問がエントリーシートや面接で聞かれるかについて、ネットリサーチは非常に有効です。私個人としておすすめする企業、業界リサーチ方法としては、インターネットで転職サイトの口コミを閲覧することです。匿名とはいえ、実際に働いている方たちが利用する可能性が高いため、学生主体の口コミサイトよりも、内部事情や実際の現場の声を目にすることができるためです。もちろん本、インターネットによるリサーチには一長一短があります。自分の就活スタイルに合わせたリサーチ方法を築いていきましょう。