OBOG訪問って意味あるの?元人材派遣会社の採用担当者と就活経験者にこっそり聞いてみた!

Pocket

毎年就活生を悩ませるのが、OBOG訪問の存在……。

一般的に「OBOG訪問」とは、企業で働いている先輩を訪ねて、その企業の雰囲気や実際の仕事内容について知り、業界や企業の研究をおこなうことです。ちなみに「OB・OG」とは、あなたの大学の卒業生を指します。

まだ就職活動がはじまったばかりで、具体的に何をしたら良いのかいまいち分からない。とりあえずホームページで企業研究はしているけれど……。そんなとき、サークルやゼミでは必ずあなたに「OBOG訪問してきたんだよね」と満足げに話してくる友人が現れます。
もしかしたらあなたももう、そんな経験をしているのではないですか?

OBOG訪問って意味あるの?

「私はまだOBOG訪問やってない……そもそもOBOG訪問する意味ってあるの?」

そんな風に冷や汗をかくあなたのために、OBOG訪問は就活において本当に意味があるのか、リクルートエージェント(現リクルートキャリア)で採用コンサルタントをしていた経験を持つ、経営推進室シニアマネージャーの森實さんに聞いてみましたよ!

森實泰司(もりざね・だいじ)さん

株式会社キュービック 経営推進室シニアマネージャー。
リクルートエージェント(現リクルートキャリア)で採用コンサルタントに従事した経験を持つ。現在は株式会社キュービックにてHRチームの立ち上げや戦略的な社内制度の設計など経営課題の解決にあたる。入社後、1年間で約50名の採用を成功させる。

 

ずばり、OBOG訪問ってやるべきなんですか?

森實:結論からいうと、絶対にやるべきです。

―絶対、ですか。

森實:はい。就職活動の企業選びで大切なのは、その企業の情報を正確に知ることです。基本的に、説明会などで学生と会う人事というのは、企業が選んだ社員なので、話術に長けていたり、見た目が良かったり、学生から見て、イケているなと思う人が多いんです。話す内容も、その企業にとってプラスになることがメインである可能性が高いです。しかし、実際に入社したらそういう人たちと一緒に仕事ができるのかといったら、そうとも限らない。だから企業のことはもっと多方面からしっかりと知らないといけないんです。

―なるほど。説明会だけでは、その企業のことを十分に知ることは難しいということですね?

森實:そうですね。「説明会で出会った人事の人がなんか素敵だったから」という理由でその企業に決めてしまうと、実際に働いてみたときとのギャップに驚くことになるかもしれません。だから、現場のリアルを知った上での企業選びというのが非常に重要です。そこで有効なのがOBOG訪問です。実際に現場の声を直接聞くことができるので、OBOG訪問は企業選びにおいてとても有益なイベントだと思います。

―OBOG訪問は誰に頼むべきですか?

森實:できれば同じゼミやサークルの先輩が良いでしょう。先ほど言ったように、OBOG訪問とは現場のリアルを知って、より企業理解を深めるという目的があるので、腹を割って話してもらえるような間柄の人を選択するのがベストですね。
でも、より多くの人に会うために、OBOG訪問先を検索できるサイトなどを利用しても良いかもしれません。

―なるほど。その他にOBOG訪問のメリットはありますか?

森實:どんな人が働いているのか、企業ごとの”人種”を知れることですかね。ベンチャー企業にいる人と広告代理店にいる人、ITにいる人…業種によってもさまざまだし、企業によってもさまざまです。実際に仕事をしてみないと分からないとはいえ、なんとなく感覚的に「この人とは合いそうだな」「この人とは合わなそう」というのは分かりますよね。その感覚を知ることが、とても大事なんです。そういうことはネットで調べても、なかなか分かることじゃないですから。

―自分に合った企業を知るためには、その企業で働く人に直接会って話してみるのが一番ということですね

森實:はい。さらに言うと、できれば一つの企業で複数の人と会って欲しいんです。そうすると、その企業に勤めている人たちの共通項が見つかるので、より企業の特徴が浮き彫りになって、自分と合っている企業なのかどうか、想像しやすくなりますよね。

―話は変わりますが、OBOG訪問は内定に繋がるんですか?

森實:OBOG訪問したから内定がもらえる、というわけではありませんが、間接的に内定に繋がるアピールにはもちろんなります。OBOG訪問をすること自体が、その企業への気持ちを伝えるわかりやすいアクションだからです。例えば、全く同じ経歴の2人がいて、人柄も評価も同じくらいだったとします。どちらかがOBOG訪問をしていて、もう一方はしていなかったら、誰でもしている人の方を採用したくなりますよね。

―確かに、印象は確実に良くなりますね!

森實:また、OBOG訪問で聞いた話の中には、その企業から内定をもらうヒントが隠されている可能性が高いんです。先輩から会社の魅力や特徴を詳しく聞いておけば、実際に面接で聞かれた時に、説得力のある話をすることができますよね。そして「この子はうちのことをよく分かってくれている」という好印象に繋がりやすいんです。

―OBOG訪問がこんなに就活に活きてくるなんて、知らなかったです!ちなみに、OBOG訪問の時期はいつ頃がベストですか?

森實:企業選びの判断材料となるものなので、できるだけ早いうちから始めた方が良いです。就職活動が始まってすぐか、始まる前でも良いと思います。あとは、選考が本格的になると時間に余裕が無くなりがちなので、比較的時間があるうちが良いですね。

―ありがとうございました!

採用のプロから、説得力のあるお話しを聞くことができましたね。OBOG訪問には、その企業の本当の姿を知り、自分との相性を考えるという意図があったとは。説明会に行ったり、ネットで情報収集をしたりすることだけが企業研究ではないんですね……勉強になりました。

最後にご自身の考えたカエル(?)のキャラクターを書いてくれた森實さん

 

OBOG訪問のやり方

さて、OBOG訪問の大切さが分かったところで、次は実践編です!
実際に就活を経験した学生にOBOG訪問のやり方について聞いてみましょう。

大学4年生 市原純(いちはら・じゅん)さん
キュービックのインターン。神奈川大学法学部四年生。サッカー部に所属。趣味は部屋の模様替え。

 

どうやってOBOG訪問するの?

市原:僕の場合、大学3年生の3月が就活の情報解禁日だったんですが、前年の8月くらいからOBOG訪問を始めていました。もうひたすら人と会いましたね。3か月で60人くらいに会っていました。

―60人?!どうやってそんな人数探すんですか……?

市原:大学の先輩にあたるのも良いと思うのですが、どうしても人数に限りがありますよね。そこで僕は、Matcherというサイトを使って話を聞きたい人を探しました。希望の職種や業種を設定すると、自分に合った人を導きだしてくれるサービスなんです。とても便利なので、良かったら使ってみて下さい。

―そんな親切なサイトがあるんですね。これは耳より情報!

市原:次に、会った人の中で面白いなと思った人に、その企業の他の社員を紹介してもらいました。面白い人の紹介する人は面白い、っていう場合が多いんです。そうやって数珠つなぎに人を紹介してもらって、気が付いたら60人に会っていました。

―OBOG訪問の相手にまた別の人を紹介してもらう、っていう方法はとても効率的ですね!

市原:そうですね。あとは、Facebookで気になった人に直接メッセージを送ることもありました。

―行きたい業種に知り合いが少ない……っていう場合でも、こうやって自分から動けば、話を聞く方法はたくさんあるんですね。そしてやっぱり、なるべく多くの人と会うことがとても重要なんですね。

OBOG訪問の流れ

いざOBOG訪問へ!でもその前に、OBOG訪問の全体の流れを把握して、自分のやるべきことを明確にしましょう。

<1>OBOG訪問先を見つける

まず、訪問する先輩を探しましょう。前述したように、大学の先輩のツテをたどるのも良いですし、OBOG訪問の相手を検索できるサイトに頼るのも手ですね。他には、大学内のキャリアセンターで紹介してもらうという方法もあります。その他、家族や友人など、頼れるものは全て頼りましょう。

<2>コンタクトをとる

訪問先が決まったら、メールや電話でコンタクトを取り、訪問日時を決めましょう。アポイントを取る際には、お忙しい社会人への配慮を忘れずに!

<3>訪問する

ついに訪問・・・!訪問先への質問を事前に幾つか用意しておくことがマナーです。引き受けてくれた先輩への感謝の気持ちを忘れずに。

<4>訪問後は必ずお礼のメールを!

訪問を終えたら必ずお礼のメールを送りましょう。お礼メールの送り方はこちらの記事を参考にしてみてください!

まとめ

さて、取材をしてみて、実際に企業で働いてる人に会い、話してみるということが何よりの企業研究になるということが分かりました。最初は「OBOG訪問って本当に意味あるのかな……」と思っていたあなたも、段々とやる気になってきたのではないでしょうか。

OBOG訪問で大切なことは「感謝の気持ち」「楽しむ」ことだと思います。
社会人の方が、多忙な時間を割いてわざわざあなたに会ってくれているということを決して忘れず、感謝の気持ちを瞳に詰め込んで、お話を聞きましょう。

また、社会人と直接対面するのはとても緊張することだとは思いますが、OBOG訪問というのは非常に楽しいイベントでもあるんです。自分の知らない世界を知ることができ、自分の未来を想像するキッカケになります。自分が社会人になったら、ありとあらゆる話を、そこで実際に働いている社会人に丁寧に教えてもらえる機会というのはあまりありません。いわば学生の特権です。そんなありがたい環境にあることを噛みしめて、OBOG訪問に挑みましょう!