早期内定を獲得した就活の猛者たちに聞く、就活の本当の勝ち筋とは!?

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これから就活がはじまる学生にとって、大学3年生の秋に差し掛かる時期は学生生活のなかで一番そわそわする時期ではないでしょうか。まだ就活解禁日までは時間があるけれど、インターンやOBOG訪問など、少しずつ就活に向けて動き出している人もいるはずです。

ところであなたは「早期内定」という言葉をご存知でしょうか?これは、就活解禁日より前にもらう内定のことです。毎年、早期内定を獲得している学生は一定数います。

・就活解禁日とは?
一般に、企業が新卒採用を開始して良いとされる日、及び大学生に就活を解禁するとされる日。2016年度以降は3月が解禁日となっている。

ここでふと、私自身の就活の記憶をたどってみました。これから企業研究をはじめようかなと考えていたら、その時点でもうすでに数人の友人が内定をもらっていたのです。でも当時私は、彼らがいかにして早期内定をとったのかも分からなかったし、どうしてそんな早くから就活をしているのかも不思議だったし(その企業が第一志望ならまだしも)、正直言って、早期内定の実態は謎だらけでした。

そこで今回は、早期内定をとった経験のある方々に、早期内定をとった理由やメリットについてお伺いしました!

就活生よ、内定のために就活をするべからず!

市原純(いちはら・じゅん)さん

神奈川大学法学部4年生。2018年卒業予定。趣味は部屋の模様替え。座右の銘は「難無き人生は無難な人生。難あり人生は有難き人生」。

 

ー早期内定をもらった時期と業種を教えてください。

市原:私が就職活動をしていた年は、就活解禁日が大学3年生の3月だったんですが、最初に内定をもらったのはその半年ほど前、大学3年の秋ごろです。業種は、IT関連のベンチャー企業3社と、中小企業1社です。

ー就活解禁日の半年前とは相当早いですね!早期内定をもらうまでの流れは具体的にどのような感じだったんですか?

市原:とにかくたくさんの人と会おうと思って、(大学3年生の)夏くらいからOBOG訪問をはじめました。Matcher(マッチャー)という就活生のための、OBOG訪問用マッチングサービスを使って、少しでも気になるなと思った人に片っ端から声をかけました。

ーそんなサービスがあるんですね!就活生にとって見過ごせない情報ですね!

市原:他にも、話を聞きたいと思った人にFacebookで直接メッセージを送ったり、会ってみて面白いと思った人に、別の知り合いを紹介してもらったりしていました。この時期は、まだ自分のやりたいことが明確になっていなかったんです。だから、本当にやりたいことを見つけるには、とにかくまず自分のことを知らなくてはいけないなと。そこで、自分がどんな人と働きたいのか、どんな人の生き方に共感できるのかを知り、自分の判断軸を見出すためにとにかくたくさんの人と会いました。そうしていくうちに、自分のやりたいことが分かるようになると思ったんです。

ー自分ひとりで考えているだけでは、自分を知ることはできないと。

市原:はい、私はそう思います。だから多いときで1日5人くらいに会って、気が付いたら3か月で60人くらいには会っていましたね。そうしているうちに、私のことを気にいってくれた企業の人が声をかけてくれて、早期内定をいただくに至りました。

ーす、すごい。私の25倍くらいタフな就活してますね。

市原:サッカー部だったので体力には自信があります(笑)。でも、結果的に早期内定はいただきましたが、それを狙っていたわけではありません。自分を知るために人と会っていった結果、たまたまもらえたという感じです。私の考えですが、入る企業は結局ひとつなので、早く内定をもらったから良いということもありませんし、もらった内定の数が重要なわけでもありません。自分が本当に行きたい1社が見つかれば、それで良いのだと思います。

就職活動中の市原さん

ーつまり、早期内定をもらうことが重要というわけではなく、早い段階から自分の行きたい企業を見つけるために動くことが大切だと。早期内定はその過程の一つの結果にすぎない、ということでしょうか。

市原:そうだと思います。就活をしていると、よく友人同士で「内定いくつもらった?」という話になって、内定の数にこだわる人がとても多いです。まるで内定の数がその人の価値、みたいな。就活は内定をもらうためのものではなく、自分が将来やりたいことを考えるためのものだと思うので、それは危ない考えだと思うのですが。

ーそこに気づける人、意外と少ないような気がします。ちなみに、早期内定をもらって良かったことはありましたか?

市原:内定をもらっている間はいろいろな人に会わせてもらえるんです。その企業の人事に「(入社を)迷っているので、社内の人にもっと会わせてください」と言うと、快く会わせてくれました。

ーそれは早期内定を活かした就活のやり方ですね!ちなみに、早期内定って保留にできるんですか?

市原:私の場合はできました。急かしてくるところもまれにあるんですが「一度きりの人生なので、ゆっくり考えて決めたいんです」と言うと大抵は待ってくれます。

ーなるほど、切り出し方によってできるかできないかも変わってきそうですね。就活って駆け引きですね……。最後に先輩として就活生に伝えたいことがありましたらぜひ!

市原:さまざまな企業の人と会えて、丁寧に企業の話を聞けるのは、大学生のうちの特権だと思います。その特権を使って、就活を思う存分、楽しんでほしいです。アドバイスをするとしたら……そうですね。内定をもらえない人の特徴って、自分が無い人だと思うんです。行きたい企業に合わせて自分を変えるのは危険です。まずは、自分がなにをやりたいのか、自分はなにを大事にしているのか、といった自分だけの軸を見つけるべきです。それができると、就活は格段に楽しくなりますよ!

ーとても説得力のあるアドバイス、ありがとうございました!!

自分を知るためにも、就活の準備は早めから!!

的場祐介(まとば・ゆうすけ)さん
立教大学経営学部4年生。2018年卒業予定。趣味はスポーツ全般・美術館鑑賞・食べ歩き。座右の銘は「なんとかなる。とにかくやってみよう!」。

ー早期内定をもらった時期と業種を教えてください。

的場:就活解禁日が大学3年生の3月だったのですが、内定をもらったのはその1、2か月前です。業種は、通信関連と人材関連ですね。

ー内定をもらった経緯を教えてください!

的場:通信関連の企業では、夏季インターンをしていたので、そこからの早期選考で内定をいただきました。人材関連の企業は通年採用しており、面接の練習をする気持ちでいくつか受けていたら内定をいただけた、という感じです。

ーなるほど。インターンから内定をもらうケースですね。インターンをはじめたのは就活のためですか?

的場:はい。私は、大学に入ってすぐの頃から、大学3年の6月には就活をスタートしようと決めていたんです。でも早期内定が欲しかったというよりは、自分は今どのくらいのことができて、周りにどう見られているのかをしっかり確認した上で就職活動がしたかったので、早めに準備をしました。就活準備の一環として、インターンをはじめたという感じです。

ーやっぱりインターンってした方が良いんですか?

的場:そうですね、一般的に早期内定をもらえる企業としては、人材関連企業やベンチャー企業があげられますが、他にも”インターンを受け入れている企業”があるんです。私もそうだったのですが、インターンとして働くことがすでに選考の一部になっているんです。気に入ってもらえたら、早いうちから内定をもらえる可能性があります。早期内定を狙うとなると夏季インターンが一番確実といわれていますが、とにかくインターンをすると何かしらの優遇はあるので、ワンデーでも構わないと思います。企業の人事と関わりが持てる機会にはまず足を運ぶべきですね。

ー私ずっと、早期内定をもらっている人がいったいどんな手順を踏んだのか気になっていたんです。とてもすっきりしました。ちなみに、早期内定のメリットがあったら教えていただけますか?

的場:「どこにも内定もらえなかったらどうしよう」という不安がなくなるのはもちろんのこと、就活解禁日後に自分の第一志望にフルコミットできたことも大きいです。優先度の低い第3~5希望の企業をごっそり選択肢から外しました。そうすることで、時間のロスが防げました。

ー第一志望に全力を注げるというのは大きなメリットですね!

的場:そうですね。ただやっぱり、早期内定をもらった企業から「うちに決めてくれ」という圧力は少なからずありましたね。内定をいただいた後も何度か面談の時間を設けられたのですが「私服で来てね」と言われました。スーツだとその前後に他企業の面接を受けることができるので、それを防ぐための策かと思います(笑)。

ーなんと巧妙な……。では、早期内定をもらうと多少の圧力はある、ということですね。

的場:はい。まあでも、今のは少し大げさかも知れませんが(笑)。私の場合はきちんと保留期間が設けられ、その期間に決めてくれれば良いよと譲歩してもらえました。俗に言う「囲い込み」みたいなものは、ほとんどありませんでしたね。

囲い込みとは・・・就活において、企業が候補者に他の企業の選考を受けないよう、暗に(場合によって明に)仕向けること。

ー内定を断るときは気まずかったですか……?

的場:いいえ!断るときは、相手を不快にさせない言い方を心がけていたのでそういうことはなかったですね。例えば、「本当に御社に決めるつもりだったのですが、諦めていた第一志望から合格をもらい、やっぱり夢を追いかけてみたいと思ったので」とか「後悔しながら御社で働けば、パファーマンスも落ちて迷惑をかけてしまうかもしれないので……自分勝手で大変申し訳ないのですが」などです。

ー内定辞退の言葉までしっかり考えているなんて、就活の猛者ですね……!的場さんが、早期内定をもらえた理由ってなんだと思いますか?

的場:とにかく目立つように振る舞っていたことだと思います!例えばグループワークでは、躊躇せずに自分の意見をどんどん出していました。独りよがりにはならないよう、他の人の意見も組み合わせつつ、全体をまとめるよう心がけていましたね。チーム内の誰かが前に出て発表するときは必ず自分が手を挙げましたし、自己紹介では絶対に笑いをとるよう心がけていました。

ー話を聞いていて、的場さんは自分のことをすごく分かっていて、だから自信をもって行動にうつせたのかなと感じました。

的場:そうですね。就活がはじまる前から自分のことを知ろうとしていたからかもしれません。自分の得意・不得意をちゃんと把握しておくことは、就活においてとても重要です。先ほど話したグループワークの話に戻りますが、私は率先して意見を言ったり、発表したりするのが得意なのでそこを自己アピールの手段にしました。全体整理が上手な人であれば書記をして目立てば良いし、発想力に優れた人はアイデアマンになれば良いし、何にせよ自分の強みを理解している人が評価されると思うのです。早期内定をもらうつもりで早くから就活していると、自分の強みを人より早く知ることができるので、就活解禁後、誰よりも自信を持って就活に臨めて、とても良いと思います。

ーなるほど!早期内定をとることには、そういうメリットがあったんですね!本日はありがとうございました!

企業に合わせるな!自分の夢を語れ!

石井寛正(いしい・ひろまさ)さん

青山学院大学理工学部経営システム工学科2016年卒業。現在は株式会社キュービックのアドストラテジーディビジョンで、広告運用を担当。趣味は料理・スイーツ店巡り・読書・体を動かすこと。座右の銘は「好奇心はいつだって、新しい道を教えてくれる」。

 

ー早期内定をもらった時期と業種を教えてください。

石井:大学3年生の11月にITベンチャー企業、翌年の2月にインターネット広告の代理店からいただきました。ちなみに就活解禁日は、広告代理店から内定をもらった年の3月でした。

ー早期内定をもらった経緯を教えてください。

石井:ITベンチャー企業の方は、もともとインターンをしていて、その流れでいただきました。広告代理店も、短期インターンをしていたので同じように。

ーインターンから早期内定という勝ちパターンですね!

石井:そうですね、間違いないです(笑)。インターンをしていたおかげで早期内定がもらえました。インターンって、社会人と仕事ができたり、いろいろと話したりできる絶好のチャンスなんです。私は、インターンをしていくなかで、社長や社員の方に「自分のやりたいこと」や「将来なりたい姿」というのを遠慮なく話していました。それが好印象だったようで、人事の方に気に留めてもらえたんです。その結果、早期内定をもらえたという感じです。

ー早期内定のメリットはありますか?

石井:本来就活で使うであろう時間とお金を別のところにかけられたことです。内定先で必要になる資格の勉強をしたり、海外旅行に行ったり。大学4年生のときは終始おちゃらけていました(笑)。

ーということは、石井さんの場合は早期内定をもらった先に入社を決めたということですね。

石井:そうですね。ずいぶん前から、大学の友人には早期内定をもらう宣言をしていました。ベンチャー企業は選考のスピードが早い傾向があって、私が狙っているのはベンチャーだったので、早く決まるだろうなと思っていて。早期内定をもらった後は、周りの就活生の相談役になってましたね。

ー早期内定を狙うというよりは、第一志望の企業が早期内定が見込めるところだったということですか?

石井:そうですね。

ー羨ましいです。私は石井さんと同じ年に就活をしていましたが、結局終わったのは大学4年の夏真っ只中。炎天下、スーツを着て汗をかきながら東京駅を歩いてました……地獄でした……。

その年、就活生の悩みの種はエントリーシートよりも熱中症だった……。

石井:それは大変でしたね…。早く決まって良かったです(笑)!

ーちなみに内定の保留はできましたか?

石井:できました。私の場合どちらの企業も親切で、就活しながら自分のやりたいことを磨いていけば良いよ、と言ってもらえたんです。今となってはそういう優しさが一つの囲い込みだったのかな、というひねくれたことも思ってしまいますが……。

ー優しさが囲い込み……哲学的ですね。ちなみに、早期内定もらえない人は何が原因だと思いますか?

石井:「内定をとりにいこう」って思っているからじゃないですかね。純粋に「こういうことがやりたい」「こういうことを知りたい」という気持ちで行動していると自然と周囲に良く映っていくのかなと思います。「内定がほしい!」という気持ちが強すぎると、必死さが相手に伝わって逆に引かれてしまうこともあるのかもしれませんね。必死なのは悪いことではないと思うのですが。私は、素直に自分のやりたいことを話して、内定をもらいました。企業に合わせたり、媚びたりする必要はないと思います。

ー確かに。企業に合わせて自分を変えず、ありのままで挑んでいる人の方が内定を早くからもらっているイメージがあります。

石井:私もそう思います。とにかく自分の夢を語っていると、「それならこうしたらいいんじゃないかな」と人事の人がアドバイスをくれることがあります。その流れで「うちだったらこういうことができるよ」などと提案されたら、自分の企業に来てほしいっていうサインである可能性が高いですね。

ーな、なるほどー!!内定をもらっている人ってやっぱり駆け引き上手です……!

石井就活は駆け引き、みたいな部分ありますからね。

ーはい。今回の取材でそれを痛感いたしました……。では、石井さんにとって早期内定をもらうことの意義ってどんなところにあると思いますか?

石井:早期内定をもらっているから、ほとんど就活してないんじゃない?って実はよく言われるんですけど、私は早期内定をもらう前から準備して、周りより早くインターンをしていました。それが早期内定に繋がったわけです。その後、記念で大手も受けましたが、すでに内定をもらっているおかげで、リラックスして面接に臨むことができました。面接官の言っている意味も、しっかり理解して客観的に考えることができる。おかげで結構いいところまで進ませてもらえました。

ー企業に合わせることはせず、自分のしたいことをはっきり話すことができたら、自ずと内定もついてくるんですね!ありがとうございました!!

インタビューを終えて

さて、早期内定をもらった経験のあるお三方に取材をしました。あなたは、この三人の共通点に気づきましたか?そうです、早い時点から自分のやりたいことがはっきり分かっているということです。

早期内定をもらうつもりで早くから動くことで、他の人よりも早く自分の強みや、やりたいことを知ることができるのです。それはその後の就活にも必ず活きてくるもの。早期内定をとることにはそういった意味があったんですね。

他にも、早期内定をもらっておくことで安心して第一志望に全力を注ぐことができたり、学生のうちに趣味や旅行に多くの時間をつぎこめたり、良いことだらけなのは間違いないですね!

就活のスタートは、まず自分を知ることです。自分を見つめなおすことは、立派な就職活動です。大学3年生の今から始めれば、就活解禁日を迎える頃には無敵なあなたになっているはずです。というわけで、備えあれば憂いなし!就活生よ、まずは早期内定を狙え!